IT企業の採用サイトが似通う理由と、差をつける一点
エンジニアが採用サイトで最も知りたい情報は、技術ではなく「業績情報」でした(ベイジ調べ・37.15%)。本記事では、IT企業の採用サイトが同じ項目で似通う理由と、事業とエンジニアの仕事をつなげて差をつける方法を解説します。
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EVPは待遇の言い換えではありません。厚生労働省の調査では、男性が前職を辞めた理由の1位は「給料等収入が少なかった」で10.1%、女性は1位が労働条件でした。本記事では、EVPと給与・福利厚生の線引きと、自社のEVPを言葉にする3つの手順を解説します。
EVPとは、その会社で働くことで社員が受け取る価値を、会社の側から言葉にしたものです。英語の Employee Value Proposition の略で、日本語では従業員価値提案と訳されます。
提案する相手は、これから入る方と、いま働いている方の両方です。
ところが実際には、給与や福利厚生の言い換えとして使われていることが少なくありません。本記事では、EVPと待遇の線引きと、自社のEVPを言葉にする3つの手順を解説します。

弊社では、自社で働く価値を4つの軸に分けて言葉にしています。
| 軸 | 中身 |
|---|---|
| 仕事内容 | 何を任されるか。どこまで決められるか |
| 人・文化 | 誰と働くか。どう決まっていくか |
| 報酬・待遇 | 給与、賞与、休日、福利厚生 |
| 成長環境 | 何ができるようになるか |
給与や福利厚生は、このうちの1つです。4つのうち1つしか言葉になっていない状態で「EVPを整理しました」とすると、残りの3つは空欄のままになります。
そして、空欄のところは他社と比べられません。比べられるのは金額だけになります。
ここが、EVPを待遇と同じものとして扱うと見えなくなるところです。
まず、応募を考えている段階で見られているのは、たしかに待遇です。
マイナビが2026年8月に20〜50代の正社員1,312名へ行った調査があります。
応募・入社を検討する際に重視する情報の1位は「給与・手当・賞与」で59.4%、2位が「休日休暇・福利厚生」で46.7%でした。
出典:マイナビ「2026年8月度 中途採用・転職活動の定点調査」(2026年)
一方で、実際に辞めるときの理由は別のところにあります。
厚生労働省の調査で、転職した方が前職を辞めた理由を個人的理由のなかで見ると、次のようになっています。
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 給料等収入が少なかった | 10.1%(1位) | 8.3%(3位) |
| 職場の人間関係が好ましくなかった | 9.0%(2位) | 11.7%(2位) |
| 労働時間、休日等の労働条件が悪かった | 8.6%(3位) | 12.8%(1位) |
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2026年)
男性でも、給与を理由に挙げた方は10.1%です。女性では3位で、1位は労働条件でした。
入る前に見ているものと、辞める理由が一致していません。待遇で来ていただいた方が、人間関係や働き方を理由に離れていく、という形になりやすいということです。
EVPの4つの軸のうち、報酬・待遇だけを磨いても、この差は埋まらないと考えております。

EVPの解説記事では、新卒の早期離職の数字がよく引かれます。
厚生労働省が2025年10月に公表した最新の集計では、大学卒の就職後3年以内の離職率は33.8%、高校卒は37.9%でした。前年より1.1ポイント下がっています。
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2025年)
ここを34.9%と書いている記事を見かけますが、それは1つ前の集計(令和3年3月卒)の数字です。
数字が少し動いたからといって、やることが変わるわけではありません。ただ、社内に説明する資料でこの数字を使うのであれば、新しいほうを見ておいたほうが安全だと感じております。
EVPは、これから作るものではなく、すでにあるものを言葉にする作業です。
ですので、最初にやるのは社外への発信ではなく、社内への質問になります。長く続いている方に、なぜ続いているのかを聞きます。
このとき、制度の名前が返ってきたら、もう一段聞きます。その制度を使って実際に何が起きたのか、まで出てくると、他社には書けない話になります。
集めた話を、仕事内容・人・文化・報酬・待遇・成長環境の4つに並べます。
ここで、どこが埋まってどこが空いているかが見えます。空いている軸は、価値が無いのではなく、まだ言葉になっていないだけであることがほとんどです。
全部を均等に埋める必要はありません。自社が強い軸を2つ決めて、そこを深く書くほうが伝わります。
4つの軸を良い面だけで埋めると、どの会社も同じ顔になります。
忙しい時期があること、まだ整っていない仕組みがあること。これらを同じ強さで書いたほうが、残りの部分も信じてもらえます。
入社前にどこまで開示するかは、「採用のミスマッチを防ぐには。入社前に開示する3つのこと」にまとめています。
株式会社ミギナナメウエ様の事例では、クライアント様だけでなく、未来のメンバーと、いま一緒に働くメンバーの3者に会社の本質を理解してもらうことを目的に、コーポレートサイトを設計しました。EVPが向き合う相手と重なる案件です。

EVPは、待遇の言い換えではありません。4つの軸のうち、待遇は1つです。
言葉にする手順そのものは、「採用コンセプトの作り方。きれいごとで終わらせない3つの手順」でも扱っています。
社内で言葉が揃っていないときに何が起きるかは、「インナーブランディングは採用にどう効く?社内の言葉が揃っていないと起きること」をご覧ください。
Q. EVPと採用コンセプトは何が違うのですか
A. EVPは、自社で働く価値を4つの軸で整理したものです。採用コンセプトは、そのうち何を前面に出すかを一言に絞ったものになります。EVPが材料、コンセプトが打ち出し方、という関係で考えております。
Q. 給与や福利厚生が他社より低い場合、EVPは作れますか
A. 作れます。むしろ、待遇で並べない会社ほど、残りの3つの軸を言葉にしておく必要があります。待遇だけで比べられると不利になるためです。
Q. EVPを整理したあと、どこに書けばいいですか
A. 採用サイトと、面接で話す内容の両方です。片方だけだと、入社前と入社後で印象が変わります。社内向けの資料にも同じ言葉を置いておくと、面接で話す人によって中身が変わりにくくなります。
本記事のように「待遇以外の魅力をどう言葉にすればいいか分からない」「採用サイトに書くことが、どの会社とも似てしまう」とお考えの方は、ぜひ一度弊社へご相談ください。
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