採用ブランディングの成功事例を、自社で再現できる形に分解するには?
採用ブランディングの成功事例から持ち帰るべきものは、実施した施策ではなく、その前に何を決めたかです。事例集を読んでも自社に活かせないのは、順番が逆になっているためです。本記事では、事例から抽出すべき3つのことを解説します。
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採用サイトに載せる言葉は、社員が実際に話せる言葉の範囲を超えられません。理念を明文化している企業は88.0%ある一方、入社後にギャップを感じた人は87%。本記事では、社内で先に決めておくべきことを3つに分けて解説します。
インナーブランディングが採用に効くのは、社員が自分の言葉で会社を語れる状態をつくるためです。
採用サイトや募集要項に載せる言葉は、社員が実際に話せる言葉の範囲を超えられません。理念を掲げていても、それが社内で共有されていなければ、外に出す内容はどこかから借りてきたものになります。
本記事では、社内の言葉が揃っていないと採用で何が起きるのかを整理したうえで、先に決めておくべきことを3つに分けて解説します。

理念を掲げること自体は、多くの会社がすでに行っています。
株式会社揚羽が2025年8月から9月にかけてビジネスパーソン75名へ行った調査では、企業理念やパーパスを明文化している企業は88.0%でした。浸透のための施策を「実施している」「一部実施している」と答えた企業も、合わせて約9割にのぼります。
出典:株式会社揚羽「インナーブランディングに関するアンケート調査」(2026年3月公表)
一方で、それがエンゲージメントや業務意欲の向上につながっていると感じている人は約67%にとどまります。約3割は、施策はあるが効いていないと感じていることになります。
回答75名の小さな調査なので幅を持って見る必要はありますが、「掲げること」と「浸透すること」が別だという点は、実務の感覚とも合っています。
エン株式会社が2024年に39歳以下の会員929名へ行った調査では、入社後に何らかのギャップを感じた経験がある人は87%でした。
ネガティブなギャップとして挙がった項目の上位は、「仕事内容」が39%、「職場の雰囲気」が38%です。
このうち「職場の雰囲気」は、会社側が募集要項や採用サイトの説明文では伝えきれない領域です。社員が自分の言葉で話したものだけが、外に出ていきます。
厚生労働省が2025年10月に公表した調査では、2022年3月に大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に離職した割合は33.8%でした。うち1年目での離職が12.1%を占めています。
出典:厚生労働省「新規学卒者の離職状況(令和4年3月卒業者の状況)」(2025年10月)
一方で、先ほどのエン株式会社の調査では、感じたギャップについて「事前に防げたと思う」と答えた人が42%でした。52%は防げなかったと答えているので、すべてを防げるわけではありません。それでも4割は、選考の段階で減らせた可能性があるということです。
採用の手前でできることが残っている、と読むほうが実態に近いと感じております。

最初に決めるのは、施策ではなく対象です。
対象が「若手全般」のように広いままだと、社員に話を聞いたときの答えもばらけます。何を魅力として挙げるかは、誰に向けるかで変わるためです。
職種名より一段細かい粒度まで下ろすと、社内で共有できる形になります。「エンジニア」ではなく「他社で3年やってきて、裁量のなさに詰まっている人」といった水準です。
ここが決まっていない状態で社員インタビューを撮ると、それぞれが自分の思う魅力を語ることになり、記事ごとに向いている方向が変わります。
対象が決まったら、撮影や執筆に入る前に、同じ質問を複数の社員に投げてみる方法があります。
答えが揃わない箇所が、浸透していない箇所です。揃わないこと自体は問題ではなく、そこを外に出さない判断ができるようになるのが目的です。
理念が浸透していない会社では、社員インタビューを撮っても、誰に聞いても似たような当たり障りのない答えが返ってきます。それは話し手の問題ではなく、共有されている言葉がないためだと考えております。
社内で揃った言葉が、外に出しても大丈夫なものかどうかは、社員がすでに使っている場面を見ると分かります。
東京商工リサーチが2026年6月に6,475社へ行った調査では、従業員の定着率が最も高い採用方法は「リファラル採用」で18.5%でした。2位のハローワークを通じた中途採用(12.1%)を6.4ポイント上回っています。
出典:東京商工リサーチ「企業の『採用』に関するアンケート調査」(2026年6月/日本経済新聞)
社員が知人を誘うとき、そこで話されている内容は、社内で本当に共有されている言葉です。採用サイトに書いた内容と、社員が知人に話す内容が同じかどうか。これが、外に出す言葉が実態と合っているかの目安になります。
離れている場合は、サイトの文章を直すより先に、社内で決め直すほうが早いことが多いです。

社内の言葉が揃っていないと、採用では次のことが起きます。
| 社内で揃っていないこと | 採用で起きること |
|---|---|
| 誰に向けるかが曖昧 | 社員の答えがばらける |
| 問いが共有されていない | 記事が当たり障りなくなる |
| 実態と発信がずれる | 入社後にギャップが出る |
採用サイトは、社内にある言葉を外に出す装置です。中身がない状態で装置だけを整えても、出てくる言葉は増えません。
進める順番としては、まず誰に向けるかを決め、次に社員が同じ問いに答えられる状態をつくり、そのうえで外に出す言葉が実態と合っているかを確かめる、という流れが取り組みやすいと感じております。
弊社では、株式会社ミギナナメウエ様のコーポレートサイトのように、理念を社内と社外の両方に伝わる形にするところからご一緒することがあります。インナーとアウターの整理はインナーブランディングとアウターブランディングの違い、用語そのものの説明は今更聞けない、インナーブランディングってなんだっけ、採用ブランディング全体の進め方は採用ブランディングの成功事例を、自社で再現できる形に分解するには?もあわせてご覧ください。
Q. インナーブランディングは、採用のどの段階で始めるべきですか。
A. 採用サイトや募集要項の内容を決める前に着手しておくと、手戻りが減ります。載せる言葉を先に決めてしまうと、社内の実態に合わせて後から書き直すことになるためです。ただし、制作と並行して社内の言葉を整理する形で進めることもあります。
Q. 社員インタビューの前に、社内で何を決めておけばよいですか。
A. 誰に向けて発信するかと、全員に共通で聞く質問の2つです。この2つが決まっていないと、社員ごとに向いている方向が変わり、記事を並べたときにまとまりがなくなります。質問は3問ほどあれば足ります。
Q. 理念を作ったのに社員に浸透しないのは、なぜですか。
A. 理念そのものより、日常の言葉に翻訳されていないことが多いです。掲げた文言をそのまま覚えてもらう形だと、業務のなかで使う場面がありません。どういう判断をしたときにその理念に沿っていると言えるのか、具体的な場面まで下ろすと共有されやすくなります。
本記事のように「採用サイトの社員インタビューが、当たり障りのない内容になってしまう」「社外に出している言葉と、社内の実態が合っているか分からない」とお考えの方は、ぜひ一度弊社へご相談ください。
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