EVPとは何か。給与を上げても人が辞める理由
EVPは待遇の言い換えではありません。厚生労働省の調査では、男性が前職を辞めた理由の1位は「給料等収入が少なかった」で10.1%、女性は1位が労働条件でした。本記事では、EVPと給与・福利厚生の線引きと、自社のEVPを言葉にする3つの手順を解説します。
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帝国データバンクの調査では、正社員の採用予定がある企業は大企業85.0%に対し、小規模企業は36.0%でした。採りたくても応募が来ない状態です。本記事では、知名度のない会社が母集団形成で何から手をつけるか、中小企業白書のデータをもとに順番を解説します。
母集団形成とは、採用で会いたい人の候補を、必要な数だけ集めることです。
知名度のある会社なら、入口を増やすほど数は増えます。ところが知名度のない会社が同じことをすると、費用だけが増えて、応募がほとんど動きません。
本記事では、応募が集まらない状態から何を先に整えるかを、順番で解説します。

まず、採る気が無いわけではありません。
帝国データバンクが2026年2月に全国2万3,568社へ行った調査があります(有効回答1万416社)。
2026年度に正社員の採用予定がある企業は全体で60.3%でした。3年ぶりに6割を回復しています。
ただ、規模で分けると差が出ます。
| 正社員の採用予定がある | |
|---|---|
| 大企業 | 85.0% |
| 中小企業 | 56.0% |
| 小規模企業 | 36.0% |
同じ調査には、企業からこんな声も載っています。
採用活動はしているが応募がない。予算がないため外部業者を利用することもできない(専門サービス)
出典:帝国データバンク「2026年度の雇用動向に関する企業の意識調査」(2026年)
採る気はあるが、応募が来ない。そして外部に頼む予算もない。これが前提です。

ここは、意外に思われることが多いところです。
マイナビが2027年卒の大学生37,160名へ行った調査では、大手企業志向が50.9%で2年連続の減少、中堅・中小企業志向が44.0%で2年連続の増加でした。
調査元は、その背景をこう見ています。
中小企業のインターンシップや仕事体験の実施率が上がり、従業員300人未満の企業の増え幅が、1,000人以上の企業より大きかった。
学生に自社の魅力を伝える機会を得た中小企業が増えた結果ではないか、と見ています。
出典:マイナビ「2027年卒大学生就職意識調査」(2026年)
増えたのは知名度ではなく、接点です。
母集団形成を「認知を買うこと」と考えると、予算の勝負になって中小企業は勝てません。「接点を作ること」と考えると、やれることが残ります。
中小企業庁の「2026年版 中小企業白書」に、はっきりした結果が出ています。
求める人材像を「明確化できている」事業者は、「明確化できていない」事業者より、「採用した(予定人数に到達)」と回答した割合が高いというものです。
さらに、人材像を明確化している事業者では、2019年以降に採用した従業員の定着割合も高いという結果が出ています。白書は、採用時のミスマッチが減っている可能性を指摘しています。
出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」第2部第3章第1節(2026年)
集めてから選ぶのではなく、決めてから集めるほうが、結果として数も揃っているということです。
逆にすると、応募は増えても会いたい人が混ざらず、選考の工数だけが増えます。
人材像というと、学歴や年数で書かれることが多いです。ただ、それだと社内で意見が割れます。
弊社では、いま活躍している方に「なぜこの会社で成果が出るのか」を聞き直して、思考と行動のパターンで書き直しています。
経歴でまとめようとすると、共通点が1つしか残らないことが多いためです。そこからは何も決まりません。
言葉に落とす手順は、「採用コンセプトの作り方。きれいごとで終わらせない3つの手順」にまとめています。
まず、中小企業への入職者は約7割が転職者です。新卒向けの設計のまま中途を待っても、噛み合いません。
そのうえで、入口の正解は他社の平均では決まりません。
同じ白書に、中小企業への転職入職者の入職経路が出ています。
広告(求人情報誌・インターネット等)とハローワークが、20〜40代ではほぼ同じ割合で、50代以上になるとハローワークのほうが高くなる、という内容です。
出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」第2部第3章第1節(2026年)
ただ、この数字はそのまま当てはめられません。
ここでの中小企業は常用労働者5〜299人の全業種で、建設・製造・運輸・介護のようにハローワークの比重が大きい業種を含みます。オフィス系の職種だけで見ると、実感とはずれるはずです。
元になっているのも令和5年(2023年)の調査です。
実際、求人データを扱うフロッグ社が2023年と2026年を比べた分析では、ハローワーク経由の転職の割合が36.7%から16.9%へ下がっていました。
代わりに、人材紹介やダイレクトリクルーティングが伸びています。
出典:フロッグ「2026年10月度 採用手法の動向調査レポート」(2026年)
年齢層によって入口が違う、という考え方だけが残ります。
どの入口が効くかは業種と年で動くので、他社の平均ではなく、自社にいま応募が来ている経路を見るほうが早いと考えております。過去2年ぶんを並べるだけでも、傾向は出ます。
同じ白書で、中小企業へ入職した理由の1位は「仕事の内容に興味があった」でした。「労働時間、休日等の労働条件が良い」「能力・個性・資格が生かせる」が続きます。
2014年と比べると「とにかく仕事に就きたかった」が下がっています。仕事の中身を見る度合いが上がっているということです。
インターネットの利用状況も出ていて、60代以上を除く各年代で「インターネットは利用しなかった」は2〜3割にとどまります。残りは見に来ます。
株式会社ZENRYOKU様の事例では、挑戦的でエネルギーのある姿勢と「意志ある人の夢が叶う世界」という理念を、どうWeb上で表現するかが課題でした。知名度ではないもので伝える、という点が重なる案件です。
待遇以外の魅力をどう言葉にするかは、「EVPとは何か。給与を上げても人が辞める理由」で扱っています。

母集団形成は、入口を増やす作業ではなく、決めてから集める作業です。
大手のやり方をそのまま持ち込むと何が起きるかは、「中小企業の採用サイトが、大手の真似をすると失敗する理由」をご覧ください。
Q. 母集団形成は何人くらい集めればいいですか
A. 採用予定人数から逆算します。ただ、選考の通過率は会社によって大きく違うので、他社の数字をそのまま当てはめてもずれます。
1年目は実績を取ることを優先し、2年目から逆算するほうが現実的だと考えております。
Q. 知名度がない会社でも、求人広告を出せば応募は集まりますか
A. 集まりますが、会いたい人が混ざるかは別です。求める人材像が決まっていない状態で出稿すると、応募数は増えても選考の工数が増えるだけになりやすいところです。
先に人材像を決めてから出すほうが、結果として費用は下がります。
Q. 求人媒体の運用もお願いできますか
A. 弊社は採用サイトの設計と制作、そこで使う言葉の整理までを承っております。求人媒体の運用代行や人材紹介は行っておりません。媒体に出す原稿の軸を揃えるところまではご一緒できます。
本記事のように「応募は来るが、会いたい人が来ない」「知名度がないので何から手をつければいいか分からない」とお考えの方は、ぜひ一度弊社へご相談ください。
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